2016年の4月から11月にかけて、東日本地域の4都市(宮城県仙台市、長野県長野市、茅野市、東京都多摩市)が"宮沢賢治"をテーマとした市民創作プログラム、および「風の又三郎」の舞台作品の創作・上演に、世界で活躍する舞台演出家小池博史らとともに臨む。

2016年10月21日金曜日

仙台発「風の又三郎2016-ODYSSEY OF WIND-」市民宣伝部

プレス向けプレビュー公演の劇評・感想です。


仙台では、「市民宣伝部」部員の皆さんが、10月18日に行われたプレス(新聞、テレビ、雑誌など)向けプレビュー公演を鑑賞し、舞台の奥深さ、面白さを書き伝えてくれました。3人の劇評・感想を掲載いたします。



「風の又三郎」プレスプレビュー公演を観劇して 池田 佳津子

 プレス向けプレヴューは能楽、ダンス、演劇、アクロバット、パーカッション、映像、オブジェ等で織りなす不思議かつ贅沢な舞台構成になっておりました。異分野のアーティストたちとのコラボは充分に観応えがありました。
賢治は森羅万象、人間・動物・自然(風)・死者をこよなく愛し、また自然について深く考察しつつ、童話や詩を書いた人物として知られています。
特に私は「風の可視化」にフォーカスしていましたが、アーティストたちが、色々な風を身体を使って自由自在に舞台上で表現していました。
 東北と世界をむすんで風とともに旅をしてみてはいかがでしょうか。
 演出家の小池氏からのメッセージでもある情報的に切らずに「感じる」ことに集中してご覧いただければよりお楽しみ頂けると存じます。
 最後に東日本大震災後の世界を再構築したこの作品はこの地・宮城に暮らす子どもたち、大人たちにこの舞台を通して様々なことを投げかけています。
それぞれの心の中に自然と人との大切なつながりや人と生き物とのバランスのズレを考えるきっかけとなればと存じます。
 どうぞ多くの皆様に是非、劇場に足を運んで頂けることを祈っております。 



世界中の風を感じる舞台   伊藤 美智子

 3.11の大震災の風ってどんなだったろうかな。津波にのみこまれていった人々の感じた風は、どんな風だったのかなあ。舞台装置の白黒といい、空から降りてくる仏さまかな、あのくるくるまわっている時間が貴いものに感じた。
役者のみなさんが、めいっぱい動きまわるさまざまな風の姿に、生きているって本当にいいなあと思いました。世界中の風を感じる舞台で、いっしょに旅したいです。効果音もすてきでした。                                


「賢治と博史」-大いに語りましょうー    山内 則子


宮沢賢治の作品より難解だった今回の小池博史の「風の又三郎」。
賢治の作品はドラマがあり、秋風と共に小学校に現れ、台風と共に転校した風の精と噂される高田三郎の、実に賢治らしい作品。
それに対し、小池氏の今回の第3作「風の又三郎」は、ダンスと、生の演奏と映像を駆使した作品で、どっどど どどうど どっどど どどう、と舞台に惹き付けられているうちに、85分間が、あっという間に過ぎ去っていた。
5人のあまり若くないパフォーマーが、実にいろいろな自然の風を、若々しく表現しておりました。特に、主役の三郎さんの身体能力の高さは感動的でした。
パーカッションや尺八などの生の演奏と、5人のダンサーが見事にマッチし、簡単な舞台装置と白を基調にした美しく揺れる衣装も、風の表現、表情に相応しく、賢治の、自然の中の一つに過ぎないという人間の存在が、豊かに唄い挙げられていました。
映像として写し出される文字や絵も素敵で的確でした。「風の巡礼」として写し出されたあのハッとする赤の動きある物体は、バラでしょうか?
物語の後半で、舞台中央に置かれた、白の芸術的な単純化されたポールから、湧き出し、そして空中に舞う、葉の型の「眼」は、何を表現、意図しているのでしょうか。思わず1枚記念に頂いてきました。
賢治の作品を読んだ後の清々しい気分を胸に、会場を後にしました。11月6日に友達と3人で一緒に鑑賞しますが、彼女たちがどんな反応をするか、お茶会が楽しみになりました。大いに盛り上がることと思います。

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10月22日、長野市芸術館での初演を乞うご期待!

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